塗料には、建物の見栄えをよくする「美観」の向上という役割のほかに、建物の「保護」という重要な役割があります。
建物の構造体として使用される木材やボード、モルタルなどは、そのままでは雨水や汚染物質などを吸収して劣化してしまいます。これらを塗料でコーティングすることで、構造体は、雨水や汚染物質、紫外線などから保護されます。
「塗り替え」は、美観を向上させるだけでなく、現状に合わせた「塗膜」を再生し、塗料の保護機能を回復させます。塗り替えにより、家屋は長持ちし、長期的には修繕費の節減にもつながります。
建物は、劣化が進行するにつれいろいろなサインを発信しています。それらのサインを見極めることができれば、効率的に塗り替えを行うことができます。
以下に代表的な劣化症状を挙げます。以下の例のような症状を見つけたら、塗り替えの時期が迫っていると言っていいかもしれません。
コンクリート壁やモルタル壁は、新築後数年が経過すると、ひびが入ることがあります。ひびが入ったまま放置しておくと、そこが雨水の浸入経路となり漏水や塗面の剥離につながります。
塗膜は、直射日光や風雨などにさらされ続けると、表面が劣化して粉状になり、水をはじくことができなくなります。そうなると防水効果はなく、雨水が浸み込むようになります。
苔や藻が生えているのなら、塗膜は劣化し水分を含みやすくなっている状態にある、と言えます。その場合、すでに水分が浸入している可能性が考えられます。
塗膜の剥がれは、壁の内部に浸入した水分が飽和し、その水分が表面の塗膜を内側から押し出したことによるものです。その原因としては、経年劣化や施工不良などが考えられます。
木部は、塗膜が最も劣化しやすい箇所です。木材は、常に水分の放出と吸収を繰り返していますが、塗膜はその水分の通り道をふさいでしまうため、その分劣化も早まってしまうのです。
木部は、塗膜が剥がれてから塗っても跡が残ってしまうことがあるので、剥がれる前に塗り替えることをお勧めします。
建物にとってさびは、最も早く対処しなければならないものの一つです。さびは進行がとても速く、そのまま放っておくと最後には原型を留めない状態にまでなってしまいます。さびを見つけたら見つけた部分だけでもさびを落とし、さび止め・上塗りを行えば、建物を長持ちさせることができます。
直射日光や風雨などの影響で塗料が劣化すると、塗膜の表面は割れやすくなり、雨水が侵入する原因にもなります。